ちょうど日程的に「廿日会祭(はつかえさい)」が行われておりまして。
毎年4月1日から4月5日まで行われる祭事だそうです。
▼ 4月1日~5日 廿日会祭 例大祭¦静岡浅間神社
450年以上の歴史と伝統 があり、遥か今川時代以前より駿河の大祭とされま した当神社の例大祭「廿日会祭」は、毎年桜花爛漫のなか4月1日より5日まで斎行 いたします。期間中は各種祭典のほか、山車・神輿の巡行、芸能奉納、露店の出店などがありますなんと450年の歴史ある祭り(!)
さすが静岡。駿河。徳川御三家です。
この廿日会祭も,この後ご紹介する「降祭(くだりまつり)」も,事前知識なしに当日偶然あったもの。
しかもその降祭の主役は「木之花咲耶姫命(このはなのさくやひめのみこと)」というから,これは見逃せません。
咲耶姫といったら,境内に咲いている桜がお気に入りなのです。
単身赴任した静岡の地で,めぐりあえた君よ。

咲耶姫
古事記の天孫降臨に出てくる瓊々杵命(ににぎのみこと)に一目惚れされる土着の姫神。
実は静岡浅間神社の中心,浅間神社の御祭神でもあります。
静岡浅間神社は,富士山の麓にある富士山本宮浅間神社から分祀されたという歴史があります。
富士山の姫神といえば,せんげんさま。浅間様。浅間大神。
これらは,木之花咲耶姫命の事です。なるほどですねー。

浅間神社の御神徳(*1)
その咲耶姫が,父神の大山祇命(おおやまつみのみこと)の許に一晩里帰りする祭典が,「昇祭(のぼりさい)」と「降祭(くだりさい)」。
なぜ昇って降りるかというと,父神の大山祇命は浅間浅間神社の賤機山(しずはたやま)の中腹にある麓山神社にましますから。
下にある浅間神社から,上にある麓山神社へと昇って降りる。
それが「昇祭」と「降祭」なのですね。
祭りという名前ですが,祭事中はとても厳か!
雅楽の笙(しょう)の音が,賤機山の木々の中に,桜の中に染み入ります。
ということで「降祭」のご紹介です。
具体的には,こんな青い矢印のルートになります。

降祭 巡幸図(平成24年 廿日会祭例大祭パンフレットより)
浅間神社を出て,百段を昇り,山中の麓山神社へと咲耶姫が向かうのが「昇祭」。
そこの父神の許で一泊し,また浅間神社へと戻る(降る)のが「降祭」。
そういうことです。
ちなみに地図を見てもらうとわかりますが,静岡浅間神社にはいっぱい神社があります。
神部神社,浅間神社,大歳御祖神社,麓山神社,八千戈神社,少彦名神社,玉鉾神社。
これら7つの神社を総称して静岡浅間神社です。勉強になった!!(*2)

麓山神社の前に準備された御鳳輦
この御鳳輦は,徳川家光公が奉納されたそうですよ!

麓山神社をもうすぐ出御
この時,麓山神社の中ではなにやら儀式が執り行われていたようですが,私の位置からは見えませんでした。
中から聞こえてくる笙(しょう)の音がすでに別世界の雰囲気を醸し出しています。

平安時代の装束に身を包んだ供奉員

山々に響き渡る笙の音

出御!
最初はこの白布で包まれた(隠された)人が咲耶姫かと,ちょっと驚きました。
そうではなくて,宮司が咲耶姫の御神霊「御」を捧持しているのだそうです。

「御」を御鳳輦に遷す

そこまで隠す!?の徹底振り
この日は前日の爆弾低気圧の影響がまだ残っていて,風ビュービュー。
白布で囲う方々も大変そうでした(^^;

さぁ浅間神社目指して出発
御鳳輦はお神輿に似ていますが,もちろんワッショイワッショイはありません。
四方に朱色の太縄が出ていますが,その理由は後述。

降祭は大行列!!
この写真で全体像の半分くらいです。
神職や供奉員が総勢200名だそうな(!)
御盾,御鉾,五色旗などの威儀物を携えて行列します。

百段を降る
下りるわけですからね,途中にあるこの石畳の「百段」を降りるわけです。
なるほど,先の朱色の太縄はバランスをとるためなのですね。
お神輿ではないと書きましたが,この急勾配の百段を御鳳輦が静かに降っていく実に圧巻でした。
階段の下からもギャラリーがいっぱい写真を撮っていましたね。

浅間神社へ
百段を無事に降りた御鳳輦は,境内を通らずに一度外に出て,桜門から浅間神社へと入ってきます。

ずっと鳴らされている笙の音

御鳳輦

浅間神社に着御
また例の白布で隠されて,御鳳輦から「御」が取り出されます。
いやー徹底した隠しぶりです。
神社やお寺って,こういう神仏物を「隠す」事が多いのですが,何ででしたっけ?
○○年に一度のご開帳!とかやってるじゃないですか。あれです。
ありがたきもの,だからかな?

大拝殿を通り抜け・・・

浅間神社本殿へ還幸
浅間神社の本殿は,この写真の石階段を登ったところにあります。
普段は入れない場所です。
このように遠くから写真を撮るだけ。
おおよそ30分ばかりの特殊神事。
桜を見に行ったつもりが,咲耶姫に遇い,そして「降祭」という神事を見ることができました。
いやー単身赴任で来なければ,まず知らなかったですね。
実はこの日の朝,単身赴任先のマンションの下を山車がお囃子もにぎやかに通っていったのです。
後で廿日会祭のパンフレットを見たら,それは「一番町地区踟(くねり)」。
マンションの下を通るルートは本当は4月3日(火)に行われているはずが,爆弾低気圧の風雨の影響でこの日の4月4日(水)に延期されていたのでした。
驚いたのが,そこで引かれている山車人形がなんと木之花咲耶姫命。
そのときは気づきませんでしたが,朝の時点ですでに咲耶姫に会っていたわけです(!)
このエントリを書きながら,ちょっと運命を感じてしまった夜。
浅間浅間神社での再会は,咲耶姫のお導きだったのかもしれません。
*1 なぜ咲耶姫が「安産」「夫婦円満」の神様なのかは理由があります。ちょっと悲しい理由。おググりなさいませ。
*2 これら7つの神社にはスタンプが押せるようになっていて,ちょっとしたスタンプラリーができます。
年末に子供たちが遊びに来たときも,このスタンプラリーで楽しんだのだよなぁ。
おっと目から涎が。
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